出発から現地到着まで
7月18日からカトヴィツェのシマノフスキ音楽大学で始まるマスタークラスに向けて、7月16日ポーランドに向けて成田空港を出発しました。ワルシャワ・ショパン空港に着いたのは翌日のお昼過ぎで、日本からポーランドまで20時間も要しました。ワルシャワ空港から大学の最寄りのカトヴィツェ駅までは電車を利用しましたが、ポーランドの電車のシステムは、日本のそれとは大きく異なり大変困りました。ありがたい事に、現地の親切な方から手を貸して頂き、何とかカトヴィツェ駅まで辿り着くことができました。カトヴィツェ駅から大学の寮まで向かう道中にカトヴィツェ音楽大学(=シマノフスキ音楽大学)の校舎があり、それを見た時は、次の日から始まるマスタークラスに参加できることを改めて実感し、心躍った事をよく覚えています。
マスタークラス期間中のレッスン
マスタークラスは前期と後期の二つの期間があり、私は後期に参加させて頂きました。後期は7月18日から7月24日までの一週間で、ピオトル・バナシク教授に2回、ベアタ・ビリンスカ教授に2回、合計4回のレッスンを受講しました。どちらの先生も(改めて今思えば当たり前の事の様に感じてしまいますが)「音楽を楽しむ」ということを大前提として考えています。その考え方は「弾けるようにしなければいけない」と、必死になってしまっていた私の考え方を一瞬にして変えて頂きました。レッスンでは主にショパンの作品を先生方に聴いて頂きました。バナシク教授には、肩,腕,手首の使い方と音色の出し方を、ビリンスカ教授からは、実際に歌い、踊り、「音楽を楽しむ」事を学べるレッスンを受けることが出来ました。教授たちのレッスンの共通点は”他のショパンの作品から似たような箇所を引っ張り出し、それを参照する事により、フレーズの取り方や歌い方を考えることが出来る。”という考え方でした。私がこれから先、他のショパンの作品を勉強する際、自分で分析し、その箇所の弾き方を細かく研究してみたい、そして、できる限り多くのショパンの作品に取り組んでみたいと思いました。
受講生コンサートとIPMカトヴィツェ賞受賞者コンサート
シマノフスキ音楽大学には、私が今まで経験して来なかった様な素晴らしい設備のコンサートホールがあります。嬉しい事に、私はそこで行われる受講生推薦コンサートに参加させて頂ける事になりました。コンサートでの演奏は自分の未熟さを感じる反省点の多い演奏となってしまいました。しかし、ピアノの音を素直にホールの隅々まで飛ばしてくれる響き方のホールで心地よく、ピアノから飛んでいく音を一つ一つ楽しむことができ、改めて「音楽の素晴らしさ」を実感出来たとても大切な体験になりました。
ショパン国際ピアノコンクール in ASIA の金賞(IPMカトヴィツェ賞)受賞者コンサートに、前年度の受賞者である西尾翔登さんと出演させて頂きました。こちらのコンサートは、2人で1時間のプログラムを組むということでしたので、ソロと連弾を組み込んだプログラムを2人で考え組みました。コンサート当日は多くのお客様にご来場して頂き、沢山の方に私たちの演奏を聴いていただけることが出来て幸せを感じました。お客様の雰囲気がとても温かく、ピアノの響きが豊かだったため、こちらのコンサートの演奏も楽しむことができました。今回用意して頂いたホールには、パイプオルガンがあり、ステンドグラスから差し込んでくる光の色がとても美しく、このような素敵な場所で演奏できるのはヨーロッパならではだと感じさせられる様な会場でした。ホール内の装飾とピアノの豊かな音色を楽しみ、そして音を味わうことが出来たコンサートになりました。このような素敵な経験ができる機会をくださったIMCとIPMの関係者には感謝の気持ちで一杯です。
最後に
ショパン国際ピアノコンクール in ASIA を受けた時は、まさか自分が金賞、ソリスト賞、そしてIPMカトヴィツェ賞をも頂けるとは夢にも思っていなかったというのと、このような素晴らしい機会を頂ける賞があるとは知らなかったため、この事を知った時はとても驚きましたが、ポーランドでの講習会への参加、更にコンサートまで用意して頂ける事にとても心が躍りました。
セミナーに参加し、同じ志しを持つ仲間達と7日間ひたすら音楽に集中することができ、大変充実した時間を過ごさせて頂きました。素晴らしい先生方と仲間との出会い、そして、素敵な経験をさせて頂いたことにとても感謝しています。このような機会を下さり本当に有難う御座いました。