はじめに
8月22日から26日までショパンの生まれ育った地、ポーランドで沢山の素晴らしい経験をさせていただきました。
このような機会をいただけたことに心から感謝しております。
自然あふれる環境でショパンに浸り、五感を刺激され続けた5日間の様子を皆様にお伝えできればと思います。
1、2日目
22日の早朝、ポーランドに到着。現地の方にピックアップして頂き、ラジェヨビツェに向かいました。ふと空を眺めるとちょうど朝焼けから青空に移り変わっていてとても爽やかな朝がここからの旅が素敵なものになりそうなワクワクを感じさせてくれました。
マスタークラスを受けた宮殿や宿泊所の周りには大きな湖や森といった自然に囲まれた環境。私は自然が大好きなので暇な時は散歩をして様々なインスピレーションを得ました。特に湖に光が反射してキラキラと輝いている風景が心に残っています。
マスタークラスでは2日間を通してDmitry Ablogin先生にピリオド楽器、Philippe Giusiano先生にはモダン楽器でのレッスンを受けました。
昨年私はショパン国際ピリオド楽器コンクールに出場させていただいたのですが、その時にうまく楽器を鳴らすことの難しさを痛感し、いつかレクチャーを受けてみたい!と思っていたのでとても嬉しかったです。
レッスンや練習は宮殿や近くのホールで行われ、ガラス張りのホールで陽の光や木々のゆらめきを感じながらの練習はなかなか経験できないもので幸せな瞬間でした。
3日目
この日はジェラゾヴァ・ヴォラにあるショパンの生家でソロリサイタルをさせていただきました。
沢山の聴衆の方に囲まれている環境に少し緊張したのですが、気づけば『私の演奏を通して彼の人生に想いを馳せてもらいたい』という気持ちで溢れていました。
彼の生まれた地で彼と対話をしながら自分の演奏を伝えられることへの喜びは本当に大きかったです。
この日の午後からワルシャワに向かい、夜はチェロとオーケストラのコンサートを聴きました。
指揮者がいない形態でのコンサートだったのでソリストとオーケストラの括りというより、一人一人が対話をしているようでとても惹き込まれました。
4、5日目
この日は出発前からサポートしてくれていたアレクサンドラと合流して色々な場所に連れて行ってもらいました。
まずはワジェンキ公園で行われていた野外コンサートへ。夏の日差しが強い中ではありましたが、ショパン愛に溢れる空間でリラックスしながら心地よく聴くことができました。
お昼はポーランドの伝統料理である『コトレト』を食べました。
大きくて驚きましたが味付けがしっかりしていてとても美味しかったです。
その後はショパン博物館を訪れました。私は今回で3回目でしたがガイドさんが丁寧に説明してくださり、ショパンの人生をさらに深く知る機会になりました。特に彼のコンサートのチラシを見た時は実際に彼が演奏してそれを聴いた人がいた事実に心が震え、私も聴いてみたかったなという不思議な感覚になりました。
その日の夜は1人でオペラハウスに行って、ポーランドの作曲家であるモニューシュコの“The Haunted Manor”という作品を観劇しました。全編通してポーランド語で意味は全く分からなかったのですが長時間集中を途切らせない迫力ある歌声に感動し、要所要所にポロネーズのリズムなど聞き覚えのあるリズムが出てきたところが楽しめました。
5日目は1人で旧市街や新世界通りを散策してお土産を購入したりしました。自分用に可愛いテディベアショップで買ったくまさんはお気に入りです。
帰り際、道中に聖十字架教会があったので最後にショパンに挨拶をしました。ちょうど閉まる直前の時間だったので2人きりの時間を過ごすことができました。
そしてショパンが遺してくれたものを伝える役割を担わせてもらえる幸せを胸に、これからも学び続けていくことを誓いました。
最後になりましたが、アイエムシー音楽出版ならびにChopin Instituteの皆様に心から感謝いたします。